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谷崎潤一郎 作

「お国と五平」​

​創作にあたり―/メンバー募集について

 私達は、現代の他者を顧みることのないデジタルな言葉のやり取りが生む一方通行な共感性を「転がる頭」と表現し、演劇による創作活動を開始しました。そこには、舞台と観客という限られた関係の中でこそ、伝えられる本物の価値があるのではないかという思いを込めています。

 2020年3月、第一弾として「胎内」(三好十郎作)を上演しました。

​ 洞窟内で3人の男女が朽ちる様が書かれたこの作品から、生の必然性、執念を追求し「人間であること」の意義を再定義しました。同時に、情報過多の現代社会において、考えることを放棄してはないか、与えられたものを食べるだけでは「生きている」とは言えないのではないか、と問題提起を行いました。

 偶然にもその後、社会がウイルスにより大きな変化を強いられた結果、「生命の危機」を身近に感じながら、より人は「生きていく」ことがどのようであるべきか​、考える契機になったように感じます。


 しかしながら、命の危機は生への執着をつくり、執着は敵を創り出しました。敵はウイルスだけでなく疑わしいもの全てが対象となり、誰がいつ白になるか、黒になるかわからず、生きるために他者を排除するという現実が浮き彫りになりました。目先の情報や事実を受け止め行動することが、実は人間の本性なのかも分かりませんが、考えることを放棄して、ただ坂道をゴロンと落ちていくだけの「転がる頭」な様がより顕著になっていったように感じます。

 

 こうした事実から、私達は演劇の力で再度警鐘を鳴らすべく、新たな創作に着手しようと思います。第二弾として「お国と五平」(谷崎潤一郎作)を上演します。

 本作品は、1922年、谷崎が歌舞伎の演目の一つとして執筆したものであり、お国という一人の女性を巡り、友之丞と五平が争う内容です。一言に横恋慕、恋敵との争いです。しかしながら、白にも黒にも転びうる、善悪は両者に存在する内容となっております。

 私達はこの上演から観るものに正義の在り処を考えてもらいながら、現代社会とこれからの自身の在り方について改めて考える契機を創り出したいと考えています。

  最後に、本公演について共に創作いただけるメンバー(俳優/技術者/制作者等)を募集しております。少しでも興味関心をお持ちいただけましたら、こちらよりお気軽にご連絡をいただけますと幸いです。問い合わせや見学希望でも歓迎いたします。

 先の見えない今の世だからこそ、考え抜くこと、生きていくことを懸命に行える世の中へ―

2021年3月​

京葉演劇研究會

​爲近 石井